■LD(読字障害/読み書き障害)/字を読むのが苦手な子の簡単な工夫
うちの長女もそうだったのですが、LD傾向があって、全く字が読めないわけではないけれど、音読の宿題などではスラスラ読めずに時間がかかってしまう…などの子向けのちょっとした工夫です。
文章をスラスラ読めないのは、視覚の過敏さや、視覚認知・音韻処理の課題や未発達で文字を正確に認識・発音できなかったり、文字のかたまりを言葉の意味として捉えるのが苦手だったり、視線移動が苦手で行を読み飛ばしたり……と、それぞれの子によって様々な理由があるようですが……。
このうち、行を読み飛ばしてしまう場合などには、「読みたい行が、1行だけ見えるように」工夫すると、隣の行の文字などの余分な情報をカットし、視線が定まって読みやすくなると思います。
LDがある方向けの補助・支援ツールとして、「読字ガイド」「リーディングトラッカー」「リーディングルーラー」「音読用スリット」などの名称のものがありますが、小学校低学年くらいの教科書だと文字や一行の幅が大きくて市販品が合わないことも。特に国語の教科書は縦書きですしね。
そんな時は、おうちでも簡単に読字ガイドを自作できます。
……といっても、本当に一瞬でできてしまうので、説明不要な気もしますが、一応ね。
(以前、同じアイデアを旧Twitterに投稿したこともありますが、いつ私のアカウントが消えるか分からないので、ブログにも掲載しますね)
■5秒でできる!読字ガイドの作り方
【用意するもの】
透明または半透明の下敷き or クリアファイル
単色無地のマスキングテープ
【作り方】
教科書など、読みたい文章の行の幅に合わせて、下敷き(or クリアファイル)に、マスキングテープをピッ!と、行の両サイドに貼るだけ はい、以上☆ これを音読の宿題などの時に教科書に重ねて、↓こんな風に一行ずつずらしながら読みます。
視覚過敏の傾向があるお子さんなどは、紙の白さ(特に"いい紙”の蛍光白色など)が眩しくて読みづらいってこともあるので、お子さんが読みやすい色を確認して(例:薄い黄色など)、色付き半透明の下敷きorクリアファイルを使ってみると負担が減っていいと思います。
<アレンジ例> として…
マスキングテープを色付き半透明のものにして、一行だけハイライト
下敷きに直接油性ペンかマーカーで線を書き込んで、アンダーラインに
行の上下もマスキングテープで囲んでスリット状にし 単語で区切りやすく
…など、お好みでお子さんのニーズに合わせて、より読みやすいように調整できます。
学年が上がって教科書の行が狭くなっても、マスキングテープなら貼り替えも簡単ですしね。また、
一行だけ不透明のマスキングテープを貼る
…などにすれば、LDのある・なしに関わらず、テスト勉強の時の暗記や英語の訳・例文チェックにも応用できます。
お忙しい方や「何色が見やすいか分からない」場合、中高生など「改造下敷きはちょっと恥ずかしい」「大きくて手軽に使いづらい」なんて場合には、市販品もオススメ。
<市販の読字ガイド>
「読字ガイド」「リーディングトラッカー」などで商品検索すると、いろいろ見つかります。
うちでは、サムコスというメーカーの、いろんな色でスリット状とガイドラインの2種類のパターンが、16枚も入った安価でお得なセットを買ってみました。
お子さんが「どんな色だと読みやすいのか分からない」などの場合の、お試し用としていいと思います。丈夫めな本のしおりにもなり、赤や緑は暗記用にも使えるので、筆箱などにいくつか入れておくと便利です。
リーディングトラッカーは、海外ではLDや視覚障害のある方への支援ツールとして既に認知されているようで、日本でも図書館や受験会場などで、障害の有無や理由を問わず、必要な人には誰にでも貸し出せるような、手軽な補助具・ツール等として普及するといいなと思います。また、
<もっと手軽な工夫> として…
下敷きやプリントの裏で読まない部分を隠す
裏返した定規を当てながら読む
…などもあります。色々と余計な視覚情報があるとかえって気になってしまうので、下敷きは無地のもの、定規は不透明で裏面にメモリがないもの、などがいいと思います。
ただし、この「定規を当てる」方法で注意したいのは受験生さん。
■受験時の読字ガイド(定規含む)の使用には、合理的配慮の申請が必要
文章を読むのがやや苦手な生徒さんなどが、いつも授業や定期テストなどで、自分で定規を当てながら読む工夫をしてきた場合、中学・高校・大学入試や、大学入試共通テストでは、数学や理科以外の科目でも「定規の持ち込み不可」なこともあるので、「いつもと同じ感覚」で、読みの補助に定規を当てると失格になってしまう可能性も(なんとかしてあげて〜😢)。
なので、問題文等を読むのに時間がかかってしまう受験生さんは、事前に合理的配慮の申請をして、
読字ガイド等の持ち込み許可
読み上げソフトや代読の手配
別室受験や試験時間の延長
…などの配慮をお願いするために、正当な手続きを踏む必要があります。
ただ、受験の際の合理的配慮の申請は「診断書」や「在籍校での配慮実績」などの書類提出が必要なことも多く、診断がなくて申請が難しい場合などは、配布された問題用紙で行を隠すとか、知恵を絞ってできる範囲での工夫を考える必要があるかもしれません(応援しています!)。
■「発達の時差」がある子も、負担を減らす工夫をしながら「できた」を増やす
読みが苦手でも困り感が比較的軽度な場合や、LDの診断までは出ないグレーゾーンの子の場合、うちの長女がそうだったように、負担を減らしながら読む工夫をして、音読の宿題などを続けているうちに、発達の凹部分の成長が追いついて、ある時突然スラスラ読めるようになる場合もあると思います。
特に、小学校低学年くらいのお子さんは、ほんの数ヶ月程度の部分的な「発達の時差」(※1)が、教室では大きな段差となってしまい、字を読むのが「できない」「苦手」などの意識ができてしまうことも。
でも、ほんのちょっとの間、自然な成長を待つだけで、大丈夫になることだって結構あるのだと、うちの実体験から思います。
大事なのは(これはLDの診断があるお子さんも同じですが)、音読や国語、読書への苦手意識が、ひいては勉強自体や学校そのものにネガティブなイメージが膨らまないように、宿題などの負担を減らしつつ、「こうすればできる!」って体験を増やしてあげることだと思っています。
(※1)
"「発達障害」の診断がつくほどではないグレーゾーンの子は、成長を少しの間待てば、ゆっくり部分もその子のペースで自然と発達できることは多いでしょう(うちの長女もです)。部分的にほんの数ヶ月だけ、平均的な発達との間に時差があるようなものなので、これを「発達の時差」とします。”
引用:「発達障害&グレーゾーン子育てから生まれた 楽々かあさんの伝わる! 声かけ変換」
大場美鈴・著(2020.6 あさ出版)P111より →Amazonで見る