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執筆者の写真楽々かあさん(大場美鈴)🇯🇵

学力以前の問題を改善する、一石二鳥の療育あそび

更新日:7月3日

■発達障害・LD傾向のある子の学力以前の問題


うちの子ども3人の中学受験では、受験勉強をスタートした時点で、学力以前の問題が山積みでした。

長男・長女にはLD・ADHD傾向がありましたし、次男は体調不良で小学校を休みがち。


そうすると、どんなに勉強をがんばっても、以下のようなことでつまづいてしまって、実力を十分発揮できなかったりするんですね。

  • 読み書きに時間がかかる

  • 漢字や語句が覚えられない・思い出せない

  • 問題文の意図を正確に読み取れない

  • 丸暗記が苦手

  • 集中力にムラがある

  • 作業が遅い(小学校の宿題に時間がかかって、受験勉強の時間が十分とれない…など)

  • ケアレスミスが多い

  • 自分の考えを文章に適切にまとめられない

  • 解答欄に文字や計算式が収まらない

  • 採点者が判別しにくい文字を書く

…などなど、学習上の困りごとを挙げるとキリがありませんが、このブログでも何度も繰り返しお伝えしている通り、だからといって、こういう特徴がある子達が「勉強ができない」わけではないんです。


勉強ができることと、テストができることは全く違います。


頭の中で理解していることを、紙とエンピツで正確に表現するには、別の能力が必要なんですね。


とはいえ、現実的には、受験はテストで結果が決まってしまうので、生まれつきの凹を完璧に克服することは難しくとも、多少なりとも改善・緩和することができれば、凸と凹の差が減って、本来の実力を発揮しやすくなります。


それに、能力的に何が得意か苦手かということよりも、凸凹差が大きいこと自体がその子の負担にもなっているため、思春期前後の子は特に、できない自分に対する苛立ちや、周りの子達と比べた時の劣等感や不安感、自己否定感…などから学習意欲や集中力の低下につながってしまう面もあると思います。


うちではそれまで、小さな頃からおうちでできる療育あそびを気長に続けてきて、長男・長女の読み書きなどは、小学校の授業を受ける上で大きな支障がない程度には改善していたので「やっててよかった」と心底思いましたが、それでも受験レベルにはまだまだ足りず…。


それぞれの子の学力以前の課題には、道具学習補助ツールなどでの工夫や、"努力”などでも対処してきましたが、受験勉強を始めてからも、凸凹差を和らげる療育あそびも続けました。


■ 学力以前の問題を改善する、一石二鳥の療育あそび


うちでは受験勉強の時間の前の5-10分程度(時々時間オーバーも)を使って、読み書きを始めとする学習に必要な力である、認知機能やワーキングメモリ、処理速度などを刺激しつつ、ストレス解消・息抜きなども兼ねるボードゲームなどを親子で続けていました(長男は学校の休み時間、次男は不登校時間、長女はコロナ休校時間も活用)。


ここでは特に、学力の底上げになるだけでなく、同時に受験に必要な知識や計算力なども楽しく身につけることもできる、一石二鳥、三鳥の療育あそびを紹介しますね。


【トランプ】

定番カードゲームのトランプは、ワーキングメモリ(瞬間的な記憶)・短期記憶・判断力をフル活用する上、相手の表情を読むSST、基礎的な計算力や確率統計などの体感的な下地にもなります。

うちで受験期に特によくあそんだのは「スピード」と「神経衰弱」です。一人でできる「ピラミッド」なども単純計算の練習になります(「今日の運勢占い」として、全部めくれたらラッキーデー!)。


学校の休み時間などではトランプのルールがよく分からず、苦手意識がある子もいると思うので、見て分かりやすいルールブックが一冊手元にあるといいと思います。うちでは「夢中になる!トランプの本」草場純・著(主婦の友社)が、遊びに来たお友達にも「分かりやすい」と好評でした。


カードは、不器用さんには100均の大きめ紙製トランプが取りやすくてオススメです(プラスチック製のツルツルのいいカードだと、うまくつかめなくてイライラするので…)。


長女は読みが苦手でも写真的な記憶と処理速度が強いようで、神経衰弱は無双状態(私は脳の老化を実感…)。ゆっくり次男も作業スピード向上に役立ったように思います。

あと、トランプで親に勝つと子どもの自信とやる気もUPしますしね(負けると「もう一回」とせがまれて、なかなか勉強が始まらないことも…)


【学習系かるた】

かるたも記憶力を活性化するだけでなく、読み書きに必要な見る力、聞く力、脳と目と手の連携力などを育てるのにいいと思います。

それまでも、市販の漢字かるた・カードゲームや、「計算カード」「時間割」をアレンジしたかるたあそびなどをしてきましたが、受験期は学習系かるたが一石二鳥でGood!

 

スペースを広く取って体を大きく動かしながらあそぶと運動不足解消にもなりますし、子ども達も楽しめるようです(負けず嫌いの子には、親がわざと手を迷わせたりお手つきしたりも…)。


今はほんとにいろんな種類の学習系かるたが出ていますが、うちで実際にやってみたのは…


おすすめ学習系かるた

…など。百均の「国旗かるた」「歴史人物かるた」「四字熟語かるた」なども、子どもの反応を見るためにちょっとお試しするのにいいと思います。

定番の「百人一首」や「いろはかるた」も、スマホアプリや音声AIで読み上げてもらったりも。丸暗記系が苦手な子も、毎日体を動かしながら、繰り返しあそんでいると結構覚えやすいこともあります。


【クロスワード】

覚えているハズの漢字や語句がなかなか出てこない子や、語彙力が少なくて作文・小論文や記述式の問題が苦手な子は、脳の回路をつないでいくイメージで、クロスワードなどを続けると、言葉と記憶の引き出しがスムーズに開きやすくなるかもしれません。

うちの経験上では、以前も「ワークブック特集」でご紹介した…


  • 「小学生ことばパズルクロスワード」シリーズ 親野智可等・監修(学研)

…が、見やすくてスイスイ書けるし、ユーモア溢れるヒント満載だしで、取り組みのハードルが低いので、受験準備や勉強に苦手意識がある子には特にオススメ。


ただし、内容的には教科書レベルの復習なので、このシリーズを一通り終えたら…


  • 「自由自在 賢くなるクロスワード」シリーズ 深谷圭助・著(受験研究社)

…にステップアップしました。中学受験レベルの語句や用語を雑学と一緒に身につけることができます。宿題をこなすだけで精一杯だった小学生にはかなり難しい内容なので、図鑑や辞書、スマホなどで調べながら解くと、より幅広い知識とつながります。


クロスワードを親子でいろいろ話しながら一緒に解くのも、エピソード記憶がつながっていいと思います!(ただし、親が全部解いてしまわないように…)


【漢字パズル】

漢字は読めるのに書く段階になると難しい子は、漢字の細部が思い出せなかったり、パーツの位置があいまいだったり、似た形の漢字や同じ読みの漢字と混同していたり…などで、正確に形が思い出せないだけかもしれません(大人でもありますよね)。そういう場合は、漢字パズルなどがオススメ!


  • 「つながる!ひらめく!漢字遺伝子パズル」梶原秀夫・考案制作(扶養社)→Amazonで見る

  • 「小学校でならう全漢字1006字 1日1枚5分でできる漢字パズル」杉渕鐵良・著(すばる舎)→Amazonで見る


…などに、うちでは取り組みましたが、漢字苦手な子には結構難しくて時間がかかったので、高齢者向け脳トレ系の漢字パズル雑誌なども、安価な上に懸賞応募がついてて親子で楽しくできると思います(スーパーやドラッグストアの雑誌コーナーにあります)。トイレにエンピツと一緒に置いとくのもテ。


【なぞなぞ・クイズ・推理】

「一応文章は読めるんだけど、問題文の意図を正確に汲み取れない」「国語の課題文や、算数の文章題の内容を理解するのに時間がかかる」…なんてお子さんには、クロスワードの他、文章から推論する力を鍛えるなぞなぞブックやクイズ、推理系ワークもいいと思います。なぞなぞブック系は小学校の図書室などにも置いてあると思います。国語の読解に苦手意識がある子には、



…が、子どもの興味を引く文章で、注意深く読みながら文の要点を整理しつつ、楽しく推理力を働かせる練習になっていいと思います。シリーズが沢山でているので、その子の興味に合わせたテーマのものから取り組んで達成感があると、他のものも進んでやりたがるかもしれません。

高学年向けはイラストもちょっと大人っぽくて、装丁もおしゃれな感じです。紙質も書き込みやすい!


あと、中学受験では小学生には膨大すぎる知識が必要とされますが、その全てを暗記で網羅するのは非現実的なので、手持ちの知識との問題文から推理して、消去法で選択式問題の選択肢を減らしたり、記述式などで「当たらずしも遠からず」な解答をなんとか書いて、部分点を取りにいけるのも大事な力だと思います。「名探偵コナン」などの推理マンガや、小学生向けの推理小説を読んでおくのもGood!


また、「あそびながら楽しく学ぶ」には、スマホ・タブレットの学習・脳トレ系アプリなども、漢字や計算力が楽しく身につくものや、かるたやトランプなどの定番ゲームも沢山あるので、学習意欲が落ちている時などにはいいのではないでしょうか。

ただし、特に「書き」に課題がある子は、紙とエンピツでの表現力を身につけないと現実的には厳しいので、実際に手を動かすことが大事だと思います。


■頭のストレッチしながら、脳の回路をつなぐのが学力UPへの近道!


読み・書き・計算などの能力を「基礎学力」といいますが、発達障害のある子は、更にその基礎の下の地盤が元々凸凹しているので、学習面でも努力がなかなか"紙の上での"結果につながらないこともあると思います。


勉強前に療育あそびを兼ねた頭のストレッチ時間を作ると、一見遠回りなように思えても、結果的には学力UPへの近道になるかもしれません。実際うちでは、毎日一緒にあそぶうちに、子ども達の脳の回路がつながっていくような手応えを感じました。


また、うちでは、毎日夜8時から一時間程度を受験勉強時間と決めていましたが、その15分くらい前に「今日はどのかるたにする〜?」「スピードやるかい?今日は勝つよ!」などと声かけして誘うと、子どもはゲームや動画をやめてでもスグに寄ってくるので、楽しく脳と体をウォーミングアップして、そのまま勉強時間へ…という流れができて学習習慣を定着できました。


勉強前に楽しいことがあると、受験勉強にも意欲的になれて、学習効率も上がるのではないでしょうか。



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