■時計問題が苦手な子の学習補助ツール/教具とサポート法
「ワーキングメモリ」とは、情報を処理して判断する、瞬間的な記憶力のことです。ADHDやLD傾向のあるお子さんなどは、ワーキングメモリが弱いor未発達なことが多く…
黒板→ノートの間で、今見たことを忘れて二度見、三度見し、板書を写すのに時間がかかる
お手本→漢字ノートの間で文字の形が曖昧になり、漢字書き取りの宿題が苦手
算数の暗算や筆算で、繰り上がり・繰り下がりの数を忘れる
…など、学習面で苦労してしまうようです。
ワーキングメモリを鍛えるには、神経衰弱などのトランプゲームや、昔懐かしい、音や光が一つずつ増えていくメモリーゲーム(?)などが良いと、以前療育の本で見ました(私もゲームウォッチであそんだ記憶が…)。
(ワーキングメモリの弱さを補うには、メモをこまめに取ったり、過程をしっかり書いたりすると対策が取れるようですが、字を書くのがイヤだと、あんまりやりたがらないですね…。)
うちの長男は、算数の時計問題の文章題などでも、時間が経過する前と後の両方を覚えてられなくて、頭の中でイメージできずに、宿題で苦労していました。
そこを、手作り教具の「ゲージ付き時計」で補って、時間が経過する前と後の両方が一度に目に見えるようにすると、とても分かりやすくなりました。
100円shopにある、紙製の時計を改造するだけでできますよ。
【ゲージ付き時計の作り方】
用意するもの:紙時計、色付きクリアファイル、厚手の色画用紙、シール
1. 紙時計の中心のハトメ、割りピンを外して分解
2. 色付きクリアファイルと色画用紙を、時計の中心部分のサイズ(時間の数字が見える大きさ)に合わせて、円+矢印の形にカット。
(子どものニーズに応じて、目盛り線と経過時間の数字をクリアファイルに書き入れる)
3. 矢印の真下から、それぞれ中心点まで線を引き、片側に切り込みを入れる。
色画用紙を上にして重ねて、クリアファイルの一部を切り込みから引き出す。
4. 中心に、カッター・キリなどで小さな穴を開けるか、十字の切れ込みを入れる(ピンを戻すため)
5. 下から、紙時計→クリアファイル→色画用紙 の純に重ねて、ハトメ・割りピンを戻して留めて<完成>。
シールなどで、画用紙とファイル両方の矢印の棒部分にツマミをつけると使いやすい。
【宿題の時の使い方の例】
「午前8時に家を出て、午後4時に帰りました。何時間経ちましたか?」という問題を例に、使い方を説明しますね。
1. 紙時計の針を8時の形にし、ゲージの矢印上(色画用紙)、下(クリアファイル)も、一旦8時に合わせます。
2. 「帰るのは何時だっけ?」などと聞きつつ、子どもが時計を4時に合わせます。
そして、ゲージ上の矢印(スタート時刻)を指で押さえながら、ゲージ下(ゴール時刻)の矢印のつまみをゆっくり動かします。
この時、「1時間経過、2時間経過……」と数えながら、ゲージを動かすとGood!
(12時で一度止めて、「ここまで何時間たった?」と確認すると応用しやすいかも)
3. ゴール時刻である、4時の短針に合うまでゲージ下の矢印を進め、問題の答えを出します。
長男だけでなく、時間感覚がまだ未発達な幼稚園児の次男にも、「10分ってここからこれくらい」って見せることができるので、分かりやすいみたいです。
■時計の応用問題・中学受験用の発展問題には…
【2023.10追記】
短針と長針の計算を組み合わせたもう少し複雑な問題&ゲージ付き時計作るのメンドクサイって場合。
盤面がプラスチック製の100円のシンプルな時計(電池は抜く)に、ホワイトボードマーカーで直接ゲージや数字などを書き込んでしまうのも手軽です。
お子さんや問題の内容によっては、紙時計や電池抜いた時計を2個使いして、並べて見比べるのもいいと思います。
中学受験の旅人算などの「お兄さんが〇時に徒歩で出発し、◯分後に弟が自転車で追いかけると…」なんて問題も、視覚化すると分かりやすくなるので、実物で時間経過のイメージがついてきたら、だんだん自分でも紙の上で図に書けるようにしていくといいと思います。
まあ、兄弟仲良く一緒に出かけるか、スマホで連絡取って、どこかでちょっと待っててもらえばいいのに〜って母は思いますが…(笑)