No.088
「キッチン療育」発達障害・グレーゾーンの子の一石二鳥の療育あそび
■素材にふれる、手順を伝える、お手伝いの宿題を埋める
夏休みも一週間を過ぎました。皆さん、ご無事ですか〜?笑
うちは長男の観察用のひまわりちゃんが早くも枯れてしまって、このまま朽ちていく様子の観察をすべきか、元気なのをお店で調達してくるか悩み中です…。水やりを母任せにしちゃうと、こうなります。
さて、夏休みのしおりにも「お手伝い」のことを書く課題があるので、やらないと埋まらないのですが、うちでは「料理」なら、いつもやってるので、割とすぐにできそうです(まだ書いてないけど)。
…え?
不器用さん、うっかりさん、あわてんぼさん、散らかし屋さんと一緒に料理するなんて、ハードル高過ぎですよね、分かります。
でもね、いろんな素材にふれる「料理」はおうちで手軽にできる感覚統合などの、とてもいい療育あそびになると思います。
お米をすくって図ることは手探り遊びと似ているし、じゃがいもや人参の皮むきは両手の協調運動が必要な作業だし、細かな指先の巧緻性を高める作業や、順番どおりやっていく練習、数を数えたり量を図ったり、パッケージやフタを開けたり閉めたり・・・「療育あそび」要素満載なんですね。
それに、簡単でもいいから料理のスキルを少しでも身につけていてくれると、成人してから自立につまずくことへのリスクを少しでも減らせます。
味覚が敏感で、味や食材へのこだわりが強い子は、自分で調節できるようになるし、作るほうの大変さも分かってくれるので、少し妥協してくれるようにもなってきました。
でも、やっぱり、不器用さん、うっかりさん、あわてんぼさん、散らかし屋さんと一緒に料理するなんて、ハードル高過ぎですよね。分かります。
大丈夫です。ちょっとした工夫とコツで、親の負担も少なく、毎日手軽にキッチンで療育できますよ♪
■子どもに料理のお手伝いをさせる工夫と声かけ
工夫1「朝食を作る」
朝からお手伝いなんて一見大変そうですが、実は「朝食」ならばとっても簡単です(うちのメニューが簡単だから。笑)
トーストを焼いたり、カップスープのお湯を入れたり、前の日の残り物を温めたり、目玉焼きやスクランブルエッグなど。こどもでもワンステップでできる作業が多いので、実は楽です。その日の体調によって自分で調節できますしね。
うちの不器用さんも、見守りは必要ですが、朝食くらいなら、なんとか自分でできるようになってきましたよ。
工夫2「ピンポイントで手伝う」
夕飯であっても、工程の多いカレーなど、最初から最後まで、全部きちんと手伝わせようと思うと、親も子も一回でコリゴリになってしまいがちです。
なので、私が自分のペースで、余裕のある時に、ピンポイントで手伝ってもらっています。
例えば、お米の計量だけ、とか、卵を割るだけ、とか、一本だけ人参の皮むき、とか。
ちょっと近くを通りかかった子どもに「卵割りたい〜?」とか「とうもろこしの服、脱がせてみる〜?」とか、「手伝いなさい」ではなくて、ちょこっとトライさせる感じで声かけします。もし、乗って来なくても問題なしです。
簡単な作業でも「助かる〜、ありがとう〜」と言って、「できた!」を増やしてあげます。楽しくなって、そのまま居座ってしまう場合もありますが・・・
工夫3「手順を示す」
以前の投稿で「レシピ集」を作りましたが(順次増やすと言っておきながら、全然増えてません……) 一般的なレシピ集ではなくて、うちの家電の使い方や、材料や道具の在処も含め、おにぎりなどの簡単な料理を丁寧に描いたオーダーメイドのものです。
ここまでしなくても、メモやホワイトボードに箇条書きで手順を書いてあげるだけでもOKです。こうすれば、多少落ち着いて取り組めます。
口頭でも、短く一度に一個だけ「やること」を伝えていけば、混乱せずに取り組めます。
工夫4「作業のハードルを下げる」
長男は少しずつ包丁や火を使う練習もしているのですが、やっぱり危なっかしいです。
「プロンプト」の要領で、後ろから手を添えて持ち方や切り方、力加減などの動きを黒子(親)がレクチャーしていきます。口で説明するよりも効率的に教えられるし、だんだんと複雑な動きも身に付けていけます。
また、NHKの子ども料理番組「ひとりでできるもん」の監修をしていた、坂本廣子さんの「台所育児 一才から包丁を」(農文協)の本を参考にしたりして(→Amazonで見る)、
人参や大根を切る際には、最初に親が縦半分に切っておいて、滑りにくく切りやすくしたり、「ゆでるだけ」「焼くだけ」など、プロセスの少ないものからやってみたり。フライパンに材料を投入するときは、ちょっと火から下ろして、低い位置に置いたり、ほんの少しの配慮であわてんぼさんでも、ぐっと楽に落ち着いてできます。
道具も、踏み台はもちろん、子供用の包丁(できればいいものを)や、小さめの握りやすいトングやフライ返し(100均であります)を用意したり、電子レンジなどの「スイッチ押すだけ」の家電を活用したりして、なるべく「できた!」が得られるようにしています。
料理に限らず、ほんの少し作業しやすいように配慮してあげるだけで、課題を達成しやすくなります。できたものを写真に撮ってあげると見直せるし、宿題用お絵かきも楽にできます。
でも、親も無理に頑張る必要はないと思います。自分のペースでできる範囲で、楽しめる範囲で、ちょこっと意識するだけでも違ってくると思いますよ。
(あわよくば、中学生くらいになった時に、自分の弁当自分で作ってくれないかな〜、と密かに母の長期的な陰謀も進行中です。。。ふふふ)
【2024.追記】現在大学生になった長男は、節約のために自分でお弁当作ってますよ(中高生のお弁当は母が作ってますが)。料理のお手伝い&療育あそび、やっててよかったです。
関連著書:「発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母のどんな子もぐんぐん伸びる120の子育て法」 大場美鈴・著(ポプラ社/2017.2)p88-収録 →Amazonで見る