No.115
「表情コミュニケーション」
■分かりやすい表情で伝え、ASDのある子が相手の表情を読み取る練習
突然ですが、「困った顔」ってできますか?
うちの次男は困っているときでもにこにこしちゃうんですよね。
実は、精神疾患のある成人の方向け社会復帰プログラムのSSTでも、「困った顔」や「がっかりした顔」のトレーニングをすることもあるんだそう。これは意外とできない大人が多いようです。特に日本人は。
感情を適切に表現することは、自分の心を守ったり、立ち直りを早くしたりもできるとのこと。
(参考:「傷つかない&傷つけない会話術」津田秀樹・西村鋭介著(マガジンハウス)とっても面白い本です →Amasonで見る)
この本によれば、人のコミュニケーションでは「言葉以外」の表情や態度が約3分の2をしめるんだそうです。
・・・っていうことは、コミュニケーションの苦手な子に一生懸命言葉を教えるのも大事だけど、「表情」や「態度」の表現を教えていくのも、同等以上に価値があることかもしれないですね。
ところが、参考になる療育法などがあまり見あたらなかったので、「表情トレーニング」などの本を読んでみたのですが、子どもにそのまま教えるのは難しいので、まずは私が手本を見せてみようと思い、しばらく「オーバーな表情で接する」「時々鏡で自分の顔を確認する」を実践してみました。
これ、効果抜群です!
表情を少し意識して接するだけで、子どもとのコミュニケーションの質がぐっと上がりました!
表情を読み取ることが苦手な長男にもとっても分かりやすいし、人の目を見て話すことがやや苦手な次男もしっかり見てくれます(お子さんによっては違う反応がある可能性もあります)。本人が「えー!(ガクー!!)」とか、肩を落としてがっかりした表現もしてくれるようになりましたよ。
私自身も自分の感情を「表現する」「作ってみせる」ことで、すごいセルフコントロールになるんです。イラっときた時も、オーバーに「怒った顔を作ってみせる」ことで、自分を客観視できますから、感情を直接ぶつける前にワンクッションおけるんです。雰囲気もやや和らぎます。
更に、時々鏡の前でチェックすると、意外と自分では笑顔のつもりでも相手にはそう見えてなかった、ってコトもあります。私も全力笑顔のつもりが、親族集合写真でいつもビミョーな感じで写ってしまうんです。笑(脳の半分で別のことを考えていると、ひきつり笑いなどになりやすいみたいです…)
実はこの「表情表現」の達人が身近にいるんです。
それは園のベテランの先生・保育士さん。
離職率の高いと言われるお仕事で、長年保育士さんを続けてらっしゃる先生は、皆さんとっても表情が豊かで分かりやすい!(うちの近所の園の話)。
子どもが「先生、見て見て〜」と来たら、目をまんまるにして驚き、登園してきた子には満面の笑顔で「会いたかったよ〜!」って両手を広げ、少々いたずらが過ぎた時はしっかり怒った顔をつくって見せてくれる(でも、怖すぎない)んですね。
言葉の未熟な園児相手なので、自然とそういう表現が身に付いていくんだと思いますが、プロの先生は感情が安定していて、親も子もとっても安心感があるんですよね。家でもできる範囲で見習いたいなって思います。
子どもも大人も、嬉しい時には嬉しい顔を、困っている時には困った顔をしたほうが、共感も、協力も、得やすくなると思います。
日常の中でほんの少し意識してみるだけなので、どなたでも気軽に取り組めますよ。
関連著書:「発達障害&グレーゾーン子育てから生まれた 楽々かあさんの伝わる! 声かけ変換」 大場美鈴・著(2020.6 あさ出版)p.166- →Amazonで見る