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執筆者の写真楽々かあさん(大場美鈴)🇯🇵

ポイント手帳2015

更新日:5月1日


ABA療育の実践例「ポイント手帳2015」

No.120 

「ポイント手帳2015」

■望ましい行動にポイントを与えるABA療育の実例


「ポイント手帳」は、私が発達障害という言葉を知る前の、長男が幼稚園時代から続けている子育ての工夫で、現在使用歴6年目くらい。「モノやごほうびで釣り続けたらどうなるのか?」を気にされる方もいるかと思いますので、「うちの例」を併せてご報告しますね。


現在のうちのポイント手帳は、「ポイントシールを貼る」だけでなく、「to do リスト」「スケジュール管理」「お小遣い帳」「預金通帳」「目標設定」などの機能を併せ持つものに進化しています。


使っているのはKOKUYOのCampus Diary 2015。セミB5サイズで 「毎日のスケジュールを時間単位で書き込める見開き両面1週間 (バーチカル式) タイプ」です。私も別サイズを自分用に使っています。


一日の縦のスケジュール欄には…


  • 塾やお出かけなどの予定

  • マンガやゲームの発売日(自分で書く)

  • 宿題などのやること、ToDoリスト(「漢字」「音読」など、今は私が書きだしています)。


課題が終わったら、小さなシールを貼り、ポイントを与えます。(シールじゃなくても、チェックやスタンプでもいいです)


■ポイント制の基本


【基本給】

宿題などの毎日の基本的なお仕事


【バイト】

家事のお手伝いやペットの世話・散歩など


【ボーナスポイント】

登校がしんどくなる新学年や運動会の前後、しぶり率が上がる季節の変わり目、学期の終わりなど。「行って帰ってきた」だけでも評価します。


【目標達成ポイント】

「漢字を一行だけ丁寧に書く」「宿題を◯時までに終わらせる」など、自分で目標を決めて、追加ポイントを交渉してくることもあります。


【ガマンポイント】

本人が苦手なことを頑張れたことに対しても与えます。苦手な給食のメニューや行事への参加、こだわりに対して妥協できた…など。ポイント数は本人と事前交渉で決めています。

事前に予想してなかったことも、「嫌なことがあったけどガマンできた」「お友達に謝れた」なども、本人からの事後報告でポイントをあげたりもします。


【特別手当】

優しい行動をとれたり、自分で何かを発見したりして、私が心動かされたときは「ありがとう」「感動した」「大発見だね」などの「特別手当」が出ます。


■お小遣い制


ポイントはレート換算してお小遣いに変わります。お小遣いのあげ方はいろいろあると思いますが、うちは今は「歩合制・通帳制」です。


小さな頃は、お菓子や、ガチャ◯回などと物々交換していたのですが、小学生になってからはお金になりました。

以前は現金をその都度あげて、自分で近所の駄菓子屋でおやつを買って使ってましたが、財布や貯金箱をすぐ無くしたりもするので、今は欲しいものの目標金額が貯まったら、必要な分を手帳から引き出せる方式です。


欲しい物がいくらするのかは、自分でAmazonや近所の中古ゲームshopなどで調べます。メモ欄に目標物と金額や、自分で決めたルールなどを書き込みます。

「あと何円必要か」「残高はいくらか」なども、余白に筆算を書いて計算。使ったものは「済」スタンプを押します。


■ポイント手帳を使い続けると…?


ポイント手帳を使い続けて6年目。ガマンできたり、取り組めたり、挑戦したり、できるようになったことが(その子なりに)随分増えました。


望ましい行動に対して、ポイントやシールを与える方法は「トークン・エコノミー」といって、ADHDのお子さんの子育てに有効と言われていますが、一般の大人のモチベーションupにも使えるようです。


うちの実感からすると、特に

  • 合理的考えの持ち主

  • 視覚化してほめられることが嬉しい

タイプのお子さんには、合っているのではないかと思います。


「ポイント」だけで全てがうまくいく訳ではないですが(どうしてもイヤなこともあります)、本人にとってハードルの高い「謝る」「未知の経験」なども、最初はお小遣い目当てでもいいから何度か挑戦できると、そのこと自体の取組みハードルが下がるので、報酬が無いときでもできるようになってきます。


「経験を増やす」ためには、ポイントは良い方法だと思います。


以前はなんでも欲しがっていた長男ですが、今は本当に欲しいもののために他の物を諦めたり、お金が貯まるまでガマンしたりできるようになりました。ポイントに対しても、すごく欲しい物が無いときは、今はあまり執着してないようです。宿題などは習慣としてようやく慣れてきて、「そういうもの」として受け入れている様子です。


また、親が「評価する」ということも、意見が分かれるかもしれませんが、うちでは「100点とれた」などの結果ではなく、当たり前のような「小学生のお仕事(ルーチンワーク)」や、本人の進歩や過程、がんばりや挑戦した気持ち、有言実行できた、などをポイントの対象として見ています。また「何ポイント貰えるか」に、本人の意見を入れることで「自己評価」の部分も出てきました。


これならプレッシャーを与え過ぎずに、本人のやる気や自主性を育てるのに役立つと思っています。


小さな頃から「お仕事」をして「報酬を得る」図式に慣れておくことや、金銭管理能力を育てるのは、自立につながっていくと思いますよ。


↓こちらの荒川泰之さんのブログが、トークンエコノミーや心理学的な動機付けの仕組みについて、とても分かりやすく書かれています。ご参考まで。


参考:メンタル発達インフォ

「ADHDの子の教育に不可欠なトークンエコノミー(ごほうびシール)のやり方」

「どうせお小遣いをあげるなら、月給制ではなく歩合制にしたほうが子どもはやる気を発揮する!」



 


関連著書:「発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母の毎日ラクラク笑顔になる108の子育て法」大場美鈴・著(ポプラ社/2016)p92収録 →Amazonで見る



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