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執筆者の写真楽々かあさん(大場美鈴)🇯🇵

登校しぶりの工夫「お休みチケット」

更新日:5月2日

以前のBlogの追伸欄や、発達ナビのコラム記事でも触れたことがあるのですが、反響も大きかったようですし、うちの登園・登校しぶりの工夫「お休みチケット」システムについて、改めてもう一度詳しくお伝えしますね。


■ 登校しぶり・不登校は環境の段差に注目


子どもの登校・登園しぶりや不登校は、それぞれの子で個別に理由が違うとはいえ、私は根本的な原因は、「家と学校の環境の段差」が大きいからだと思っています。


子どもが園・学校に行きたがらないと、子どもの個性や体質、親の育て方や家庭環境、学校の対応や先生や友達との人間関係、いじめ、成績不振…等々、周りも親自身も、犯人探しをしたくなりがちですが…。(ちなみに、私自身の不登校は、感覚過敏と"頑張りすぎ"による燃え尽きが直接の原因でした)


もちろん、ケースバイケースで、これらの中に具体的な理由がある場合もあるでしょうが、「適応」という視点からざっくり見ると、子どもだけ、家庭だけ、学校だけ、に原因があるのではなく、家と学校との間の段差にこそ「行きたくない」「お腹痛い」「学校怖い」の原因があるのだと私は思っています。


そして、「障害」同様、この段差が大きければ大きいほど、負担感も大きくなり、適応しにくくなるのではないでしょうか。


まずはここを踏まえておくと、子どもに「行きたくない」と言われた時に、子どもや、学校や、親自身を責めずに、今のその子の負担感に寄り添った対応がしやすくなると思います。


■「行きたくない」には、レベル別に分けて対応する


もう一つ、登校しぶり・不登校対応の大事なポイントとして、著書等でも繰り返しお伝えしていることですが…。


子どもが「行きたくない」という場合も、深刻に思い詰めている状態から、比較的軽微な程度まで、段階があります。私は以下の表のようにレベル別に分けて考え、親側の対応を代えています。


子どもの登校しぶり・不登校対応の段階別レベル表

親は子どもの話を肯定的に丁寧に聴くのと同時に、その子の様子をよく観察して判断し、一律に「行かせる」「休ませる」ではなく、今のその子の状態に合った柔軟な対応をする必要があると思います。


私は学校に「絶対行かせる」ことが常に正しいとも思いませんが(適応できないほうが健全な環境もあります)、かと言って、"過剰な負担にならない限りは"学校での集団生活には子どもの心身の発達に必要な役割もあると思うので、「ずーっと休んでいいよ」とまでは言ってあげられません。


また、現実的に子どもにずっと休まれると、仕事や家事、きょうだい児などにも影響がでますしね。まあ、無理やり行かせてもこじれるし、かと言って、休みが続くと親も正直大変なので、子どもの状態が深刻でなければ、お互いに妥協できる余地があると思っています。


■ うちの登校しぶりの工夫「お休みチケット」


そこで、現実的な妥協案「お休みチケット」の登場です。

うちでは、Lv.1〜2の「ダルい」「めんどくさい」とかのおサボりモードや、ちょっとだけ憂鬱な気分、少々お疲れ気味…などの時に大活躍。

(※ その他の段階別の登校しぶり対応は、著書「108の子育て法」をご参照ください →Amazonで見る


登校しぶり対応の工夫「お休みチケット」

・年次休暇の基本システム


大人にも年次有給休暇などがあるように、うちでは予め、親公認のズル休み…いえ、「熱がなくても自己都合で休んでいい日」の年間の回数を子どもと話し合いながら設定し、市販のカードに手書きした「お休みチケット」を毎年必要枚数分作っています(中高生になった今も)。

親もどうせ休むのならば、決められた回数の中で計画的に休んでもらったほうが助かりますしね(ただし、子どもの様子を観てよほどのことがあれば、回数以上に休ませることも)。


うちの「お休みチケット」は、「ポイント手帳」と連動していて、年度の始めの4月、ポイント手帳を新調する際に、その年度で使える「お休みチケット」もまとめて渡して、手帳に挟んでいます。

チケットを使った日は、心身をよく休めることも目的なので、基本的にゲームや動画視聴はできませんが(本やマンガ、音楽などはOK)、年に一枚だけ「なんでもOK」のスペシャルチケットも。

期限内に休みを消化しなかったチケットは、ポイントと交換できる仕組みです。


・特別休暇の設定


また、味覚や触覚(食感)が過敏で強い偏食がある子は、給食の苦手メニューの負担感が非常に大きいので、うちでは小学校時代は「ガマンポイント」や「ごほうび設定」と併用しつつ、それでもどうしても無理な時用に、それぞれ「プチトマト休暇」「納豆休暇」など、特別休暇も別途設定してました(今は弁当持参)。「一年に◯回までは、納豆を理由に休んでOK」などと事前に決めてあると、不安感がかなり和らいだようです。


いやなこと、苦手なことを避けてばかりもいられませんが、どうしても無理な「努力では乗り越えられない壁」もあるので、給食に限らず、その子が特に負担を感じていること(特定の教科やイベントなど)に対して、上限つきのお休みチケットというセーフティネットを用意してあげると安心すると思いますよ。


■ 時々休みつつ、ゆっくり社会への免疫をつける


こうして親子双方で落とし所を探りつつ、早めに休んで回復すれば「明日は行ける」ってことも結構ありますし、子どもも、少々気乗りがしない時などに安易に休むのではなく、今お休みチケットを使うべきか、もっと心配な時のためにとっておくか、すごく真剣に考えてくれます。

(もちろん、子どもの様子を観て、かなり疲れを溜めていたり、もっと深刻な状態の場合には、チケット不要でこちらからドクターストップならぬ、マザーストップをかけることもありますが…)


コロナ中は「感染への不安」を理由に学校を休んでも良かったので、不登校傾向のあるお子さんは、ほっとしていたのではないでしょうか。

でも、現在はいろんなことが元に戻りつつある反面、学校も休みにくくなっていると思います。特に夏休み明けは、家から学校へ、の環境の段差が大きくて、登校へのハードルが上がっていますよね。


私自身も学校が苦手で、不登校の経験もあるので、子どもの気持ちはよーく分かるんです。


ただ、親になった今は、その学校が著しく不適切な環境であれば適応させる必要は全くないと思いますが、そうでなければ、花粉症や食物アレルギー改善に減感作療法というものがあるように、学校アレルギーも、子どもの様子を観ながら、無理のない範囲で少しずつ段差と刺激に慣らし、自立に向けて、ゆっくりと社会への免疫力をつけていくことも、子どもの心身の発達の上で必要だと思っています。

 

【お知らせ】

日本科学未来館企画「コトバにならないプロのワザ~生成AIに再現できる?」に詩人・谷川俊太郎さん、お笑い芸人・小沢一敬さんと共に、言葉のプロとして参加しています。子どもに「行きたくない」と言われたときの声かけを生成AIのChatGPTに創り出してもらうという試みをしています。



展示期間:2023年9月13日(水)~11月13日(月) 10:00~17:00

展示場所:3階 総合案内前スペース 


入場無料(入館料も不要)の展示スペースになりますので、よければお子さんと一緒にぜひお越しください(平日に"熱がなくても自己都合でお休み”中のお子さんの来場も大歓迎です!)


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