【中学受験-面接準備】編、最後の回。いよいよ、おうちで面接練習する際の、うちの3兄妹での実戦経験を踏まえた「やっててよかった」4つのことと、「絶対NG」の1つのことをお伝えします。
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■中学受験の面接練習で「やっててよかった」4つのこと
通常、面接練習は「よくある質問」などを参考に、お子さんとやり取りすることが多いと思います。
うちでも「面接資料ファイル」を親側の手元に置きながら、志望理由など出願書類に書いたことへの質問や、よくある質問をまずは一通り練習しました。
でも、それだけだとちょっと足りないというか、もっと現実的な対応の練習が必要だと、うちの経験上強く思います(臨機応変が苦手な凸凹さんは特に!)。
うちで特に「やっててよかった」と思った練習は…
この4つ。では、順に詳しくお伝えしますね。
1. "会話のキャッチボール"を続ける練習
例えば、「よくある質問」に「将来の夢は?」などがありますが、これに対して「私は、〇〇になりたいです!」と即答できても、会話はこれで終わりではありません。実際の面接官からの質問は、一問一答のQ&A方式ではなく、”この後”に続く会話が大事なのです。
最初の質問は、会話のただのきっかけに過ぎず、1つの質問に対して、2回3回とやりとりを続けることで、受験生のコミュニケーション能力などを見ているようです。
先の例だと、
「あなたの将来の夢はなんですか?」
「はい、私はイラストレーターになりたいです」
「それはどうしてですか?」
「小さな頃から絵を描くのが好きだったので、絵を描く仕事がしたいです」
「でも、本校には美術学科はないのですが、いいんですか?」
「はい。ですが、美術部があるので……」
…なんて感じで、一つ質問に答えると、それについて理由を詳しく聞かれたり、自分の意見を求められたり、痛いところを突っ込まれたり、教育方針等の理解度や入学の意志を確認されたりします。
つまり、凸凹さんには苦手な場合も多い、会話のキャッチボール力が求められます。
これは普段から親子・友人同士の雑談などを沢山しながら、ゆっくり身につく力でもあるので、一朝一夕にはいかない部分もありますが、面接練習の間、少しでも会話力をUPさせるには、
「どうしてそう思いますか?」
「例えば、それはどういうことですか?」
「もし、〇〇だったら、どうしますか?」
などと、よくある質問等の後、"親側が”深掘りする質問を投げて、会話を続けることです。これに対して、子どもが最初はじっくり考えながらでも、練習中に一度でも言葉にできたことは、本番で近いツッコミが来たときもスッと答えやすくなると思いますよ。
2. 同じ質問を別の言い方で投げる練習
次に、これも親側が、同じような内容の質問を違った言い方で投げる練習です(言葉へのこだわりが強い子や、臨機応変が苦手な子は特に!)。例えば…
「好きな教科は?/得意な教科は?」
「最近読んだ本は?/オススメの本は?」
「将来の夢は?/大きくなったらやりたいことは?」
…など。実はコレ、次男の面接で「やっておけばよかった」と私がとても後悔したことでもあります。
IBSのある次男は体調管理優先で、面接練習は少なめ。でも、彼は精神的に大人びているし、小さな頃の吃音も治り、友達とも普通に会話できていたので、「大丈夫だろう」と私は過信していました。
そして次男は、出願書類の「自己PRシート」に、"好き"な教科は「理科」と回答し、資格欄には理科検定、自由PR欄にも(不登校時間中の「おうち実験教室」などの経験を元に)実験や科学工作等について詳しく書き込んで、面接練習でも理科に関する受け答えを重点的にして本番に臨みました。
…ところが、面接本番では「"得意"な教科は?」と聞かれたため、言葉の意味に厳密にこだわってしまった真面目な次男は、頭の中で「好きなのは理科だけど、"好き"と"得意"は違う。そういえば、この前の小学校のテストでは、理科よりも社会のほうが点数が良かったっけ…」などと考えをぐるぐる巡らせて、「社会です!」と、キッパリ答えてしまいました…。
すると、続けて「歴史と地理、どっちが好き?」「どちらかといえば歴史…です」「じゃあ、好きな武将は?」「えっと、タケ?竹中半…?」などと、守備範囲外の分野を詳しく聞かれ、最後はシドロモドロに…(理科の出番はなし!)。
なので、面接練習では「よくある質問」等を、そのまま直球で投げるだけでなく、いろんな言い方で投げて、変化球にも慣れさせてあげるといいでしょう。
また、この時の反省を活かして、3人目の長女の時には「教科について聞かれたら、好きでも得意でも、話しを〇〇にもっていこう」等と、事前にすり合わせをしておきました。
あと、質問に素直に率直に回答するのはいいことなのですが、面接はカウンセリングではないので、ぶっちゃけ過ぎないように、事前によく言い聞かせておくのも大事(腹芸ができない子は特に!)。
誠実な次男は他にも「この取り組みはいつ頃から始めたの?」「最近です」「ああ、中学受験のために?」「そうです!」などと、正直過ぎる回答をして、何度か母を焦らせました…。
普段はコミュニケーション面であまり心配のない子でも、練習不足だと本番で緊張からトンデモナイことを口走ったりもするので、練習量って本当に大事だなと反省しました。
3. 答えにくい質問に対する返し方の練習
お子さんによっては、面接で詳しく聞かれたら困ることっていろいろあると思います。
例えば、小学校での欠席が多いとか、つらい思い出があるとか、短所・欠点・苦手なことが多いとか……(全部うちの実例です)
でも、「都合の悪い部分」も見て見ぬふりをせず、練習段階で現実を直視した上で、しっかり対策して「無難な答え」を胸張って正々堂々と答えれば大丈夫ですからね!
それに、本番でイキナリ答えにくいことを聞かれたら、子どももうろたえてしまうと思いますが、おうちで事前に感情を整理しておけば、落ち着いて回答できます。
更には不安材料も、事実を伝えつつも前向きに受け止める姿勢を見せたり、いい情報とセットにしたり、自分なりの工夫や改善の努力ができることを伝えれば、かえって好印象になる場合もあります。
お子さんごとの個別の問題に対するテンプレ回答はないので、ご参考までにうちの具体例でお話しますね。
・小学校での欠席が多い
お子さんが小学校を休みがちで、面接で突っ込まれないか心配なご家庭もあるかと思います。
ただ、うちの子達が受験したA中学では、コロナ以降、小学校での出席日数はあまり気にしなくなりました。なので、実際には面接本番で、どの子も欠席日数等について聞かれたことはなかったです。
ただし、腹痛での欠席が多かった次男は、念のため、「〜という理由で、小学校では欠席が多くなってしまいましたが、のびのびとした校風の貴校に入学したら体調は改善すると思っています」といった回答を、背筋を伸ばしてキリッと答える練習はしておきました。
不安材料があっても、相手が納得できる正当な理由や根拠を説明した上で、今後努力や改善ができることや、ポジティブな情報も加えれば、きっと理解して頂けると思います。
・小学校でつらい思い出がある
実は、長男がスクールカウンセラーの先生と面接練習をしていた時(私も同席)、「小学校時代で印象に残っていることは?」という「よくある質問」が彼の心の琴線に触れてしまい、突然ボロボロと泣き出してしまいました…。何気ない質問がきっかけで、小学校時代のつらかった思い出が次々と蘇り、ネガティブな記憶の連想ゲームが始まってしまったのです(切ない…😢)。
この時は、私とカウンセラーの先生二人で、彼の話を十分聴いて「そうかそうか、つらかったね」「今まで本当によく頑張ったね」と受け止めてあげて、心のデトックスをした上で、作戦会議しました。
話を聞く中で、長男の「比較的マシな思い出」は修学旅行で、6年生のクラスではいろいろあったので迷った末の参加でしたが、歴史が好きな彼は実物を見て廻れて「行ってよかった」とのこと。なので、「もし、思い出を聞かれたら修学旅行のことをビシッと答えよう」と相談して決めました。
小学校でつらい思い出がある子は本当に大変だったと思いますが、それを面接本番で思い出すのは避けたいので、事前に十分気持ちの整理をしておくのがいいと思います。
面接でも十分な対策をして、ぜひ、自分に合った学校に進学できるように願っています。
答えにくいこと、触れられたくないことがあっても、「もし、聞かれたらどうしよう」と心配するよりも、「これを話せばいい!」と事前に分かっていれば大丈夫です。
スクールカウンセラーの先生も「堂々と言い切れば、それ以上はあんまり突っ込まれない」と仰ってましたよ。
・短所や欠点、苦手なことが多い
凸凹さんは特に、集団教育の中では短所や欠点、苦手なことのほうが目立ってしまって、親子で苦労してきたことと思います。でも、繰り返しお伝えしてきた通り、「凸凹変換表」のように、短所・欠点は、長所・いいところとセットですし、できないこと・苦手なことがあるよりも、それに対して工夫や努力ができるほうが大事です。なので…
「私は〜なところがありますが、反面、〜することは得意です」
「私は、〇〇することが苦手ですが、〜といった工夫をしてきました」
「小学校では〇〇ができませんでしたが、〇〇は人一倍がんばりました」
…など、長所と短所、ネガティブな情報とポジティブな情報…などをセットで伝える練習をしておくといいでしょう。これは、お子さん自身の本当に良いSST、自己理解にもなります。
こんな練習をしておくと、例えば、長女の面接本番では…
「あなたが苦手なことは?」
「私は、理科などの単語を覚えるのが苦手です」
「それに対して、自分なりになにか工夫をしましたか?」
「はい。まず一回書いてみて、できなかったら……」
…といった受け答えをすることができました。
こういった答えがスッと出るには、今までの経験がものをいうだけでなく、それを言語化できることが大事です。そのために「面接資料ファイル」を一緒に見ながら、今までのがんばりや工夫、自分についてなどを、お子さん自身が自分の言葉で説明できるように、十分な時間を割いておくといいでしょう(答える内容を決める練習ではなく、経験や考えを言葉にして説明する練習だと思って下さい)。
4. 自己フォローする言葉の練習
「やっててよかった」4つ目は、自己フォローの練習です。面接官からの質問を十分聞き取れなかったり、質問の意味が理解できなかったり、答えが思いつかなかったり、トンチンカンな答えをしてしまった場合などに、質問を聞き返したり、軌道修正したりする言葉を、何度も声に出して練習をしておくと、必ず役に立ちます!
<自己フォローする言葉の例>
質問が聞き取れなかった時→「もう一度お願いします」
質問の意味が十分理解できなかった時→「それは、〇〇についてお話すればいいですか?」
どうしても答えを思いつかない時→「分かりません」「今は思いつきません」
トンチンカンなことを答えた場合→「先程は〜と答えてしまいましたが、本当は〜」
中学受験で面接を実施する意図は、受験生のコミュニケーション能力を見ている部分がありますが、たとえ、人と少々話すのが苦手でも、コミュ力が飛び抜けて高いお子さんでなくても、相手とコミュニケーションを取ろうとする姿勢が感じられれば、印象は決して悪くないと思います。
ですから、たとえ、いい答えが思いつかなくても、トンチンカンなことを答えても、黙っているよりはずっといいのです。うちの子達には「分かりません」でもいいから、何か言うように練習しました。
面接本番での受け答えがあまり上手にはできなかった次男も、「身を乗り出して相手の言うことに真剣に耳を傾け、何度も丁寧に聞き返した姿勢は非常に良かった」と、最後に面接官の先生が評してくれました。次男の誠実な人柄だけは、ちゃんと伝わったのだと思います。
長男・長女も、質問が聞き取れなかった時に「もう一度お願いします!」と聞き返したら、面接官の先生が「おお!この子、やる気あるな」って感じで、ニコッと微笑んでくれましたよ。
完璧な子はいないし、ミスしたって、間違ったっていいんです。
相手を理解しようとする姿勢や、自分を理解してもらうために努力する姿勢があれば、面接だけでなく、入学後もきっとうまくいくはずです。
■親子面接で「絶対NG」の1つのこと
私は極力「これ絶対やっちゃダメ」みたいなことは言いたくないので、できるだけ「やっていいこと」のほうが伝わるように、ブログでも日頃から意識して執筆しているのですが…これだけは「しない」以外に表現しようがないので、あえて「絶対NG」と言いますが…。
ズバリ、親子面接で絶対NGなのは…「親が子どもの代わりに答えること」。
これだけは。これだけは、本当にやめておきましょう。
特に少々手のかかるお子さんを一生懸命育ててきた方は、日頃から何かとフォローすることが多かったり、親子の結びつきが強かったりすることも多いので、本番の面接で、お子さんが上手に答えられなかったり、余計なことをいったり、黙ってしまったりすると、横からつい代わりに答えたくなる衝動が押し寄せるとは思いますが…(私も必死で耐えました)。
たとえ、喉元まで言葉が出かかっても、ここは、とにかくガマンの1手です。
代わりの親の答えがどんなに立派でも、それで面接官の印象が良くなることは決してありません(断言!)。「ささやきオカン」もダメ、絶対!
不安になると、お子さんも隣の親のほうを、心細そうに子犬のような瞳でチラ見したりするかもですが、予め「お母さん/お父さんが、あなたに対する質問に、代わりに答えることはできない。あなたの考えは、あなた本人にしか答えられない」と理解させておく必要があります。
その代わり、親子面談の場合は親に対する質問タイムもありますから、どうしてもフォローしたければ、そこでワンチャンあるかもしれません。
とはいえ、私の3回の面接の経験上、学校側から親に対してよく聞かれたのは…
我が子のことをよく理解しているか
学校の教育方針を十分理解しているか
子どもの将来に何を望んでいるか
…などを確認されるような質問でした。具体的には、
「◯太郎くんは、お母さんから見て、どんなお子さんですか?」
「お子さんの交友関係は?」
「ご兄弟が在学中ですが、本校への進学はお母さんから勧めたのですか?」
「本校では生徒同士のトラブルなども、本人同士の話し合いで解決させますが、お任せ頂けますか?」
「将来お子さんには、どんな道に進んでほしいと思いますか?」
…など、聞かれました。あと、「家でゲームやりすぎてないか」などのチェックや、子どもに「困った時は誰に相談してるの?」などの質問もありました。
私自身は、できるだけ子どもの意志を尊重するように心がけていることや、A中学の教育方針は十分理解した上で、のびのびした環境で思春期の6年間を過ごさせたいこと、子どもの個性に合った進路に進んでくれれば良いと考えていること…などを3回ともお話しました。
A中学は主体性を重んじる校風の学校ということもあって、親が子どものことに過剰に介入してくる家庭である、との印象をもたれないように気をつけました(入学後も、実際に極力そうしています)。
■面接は準備が9割!
特に凸凹さんには「面接」ってハードル高く思えますが、うちの子達の面接本番の結果は…。
日頃からおしゃべりなものの、正直すぎて空気が読めず、コミュニケーション面でやや不安のあった長男は、いろんな人に協力してもらいつつ、入念に練習して臨んだ面接本番では「満点だったんじゃないの!?」と思えるほどバッチリでした。彼の素直で好奇心に溢れた、自己主張できるいいところが前面に出せて、面接中から先生方もニコニコほっこり顔。
また、コミュ力高いものの、コロナを経て人との会話に遠慮がちになってしまっていた長女も、志望理由書の音読や発声練習なども含めて「声を出す」練習を沢山したおかげと、兄たちの練習でお手本を見ていたこともあり、全く緊張せずに堂々と自然体でハキハキと答え、非常に好印象だったと思います。
そして、練習不足で面接で少々やらかした次男も、学科試験は良かったので、総合型選抜・一般受験共に合格。高1になった今では友達も多く、コミュニケーション面での不安はありません(優しく誠実なところは変わりませんが、時々母を理詰めで論破してきます…)。
これまで【中学受験-面接準備】について、実に4回に渡り、うちの経験を交えながら、しつこく詳しく細かくお伝えしてきました(ここまで中学受験の面接準備のことを、具体的に詳細に書いた記事は他にないと自負してます!実際に子どもの面接に3回も同席した親もそうはいないでしょうし…😂)。
面接は準備が9割です。
そして、親子で沢山練習しておけば、どんな子もちゃんと身になる力でもありますし、面接練習を通して自分を知ること、それを言葉にして人に伝えること、客観的に自分を見直すことなどができるので、その子の心の成長にとっても、本当にいい経験になると思います。
少し先の大学受験や就職面接など、お子さんの人生の岐路でも、度々この時の経験がきっと役に立つでしょう。