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執筆者の写真楽々かあさん(大場美鈴)🇯🇵

本人告知

更新日:8月2日


発達障害のある子の本人告知

■発達障害のある子への障害告知


一学期の終わり頃、長男に「自分のこと」の本人告知を致しました。 「発達障害」や長男の特性などについての説明を、できるだけ実体験のエピソードと、分かりやすい言葉とイラスト、「エジソン」の伝記マンガのコピーの切り貼りなどを交え、オリジナルの「告知絵本」を一冊作って渡しました。(写真は「障害」についての説明のページです。他にお見せできるところが少なくてすみません) ポジティブな情報は可能なかぎり、具体的に入れます。

実際にやってみた工夫の実例や、苦手なことも別の見方をすれば「いいところ」「長所」になること、特性があっても活躍している著名人など。私は「ママもパパも、小学生のころちょっとそんな特徴があったけれど、今はこうして仕事や家事をしている」という「身近な実例」で示しました。

注意点としては「誰に話して良いか」なども実名で書き、うっかりクラスの似たような特徴のお子さんなどに、本人が勝手に告知しないようにしたほうがいいと思います(正直病なんで…) 本人は「ふ〜ん」パラパラ……という感じで、思ったよりも反応薄かったのですが(笑)、さほど違和感なくさらりと受け入れた(受け流した?)気がします。 私が今まで長男に話してこなかったのは、自分のことを「発達障害」という枠の中だけで捉えて欲しくない、という気持ちがあったからでした。

実際、三年生までは様々な、親ができる工夫とサポート、さりげない療育あそび、先生方のご理解などによって、学年の加配の先生や、取り出し個別指導でフォローして貰いながらも「言わなきゃ分かんない」レベルにまで、学校にもほどほどに適応できていたのです。 ところが、四年生になってから、学習面が急に難しくなったこと、他のお子さんたちの目覚ましい成長、思春期入口の対人関係の複雑化などに伴って、周囲から要求されるハードルが高くなりました。

それに対して、本人のゆっくりペースの成長が追いつかず、段差が急に広がって、つまづくことが増えてしまいました。

本人は変わらなくても、環境との差によって「障害」がある状態を行ったり来たりなんです。

そして、私が「告知しよう」と思ったきっかけは、今まで自分だけの世界から、少し周りが見えるようになってきて「なんでこんなこともできないんだ!オレのバカヤロウ!」と言って、長男が自分の頭をボカボカ殴っていたのを、黙って見てられなかったからなんですね。私は長男なりにすごく頑張っていると思いますが、やはり「努力では乗り越えられない壁」というものも、現実にあります。 周りが少し見えるようになったのは成長の証ですが、人と比べて自分はどう、とか、「自分はなんだか皆と違う」とか、「フツーってなんなのか?」なんてことに今後さらに疑問を感じ始めると、せっかく本人なりにできることが増えて自信がついてきた矢先、また自信を失ってしまう可能性が高いこと。

それから、本人用のパソコンを買ったので、自分でそういった情報にいつでもアクセスできるため、netの中には誤解や偏見に基づく情報や、発達障害に対して悪意のあるコメントなども溢れているので、無防備にそれらに触れて傷ついてしまう可能性や、「発達障害」に第一印象でネガティブなイメージだけ持ってしまう怖れががあること。

そして、私のサポートや療育も、今まで自然にさり気なく「私ができること」をやってきたけれど、今後はより本人の意思や理解、主体性などが必要になってくること、などを踏まえて、伝えることにしたんです。 長男が比較的すんなりと告知を受け入れられたのは、今までのサポートの積み重ねがあって、「苦手なことも工夫すれば大丈夫」「◯◯を使えば◯◯できた」という実例を示せたこと、親である私が発達の凸凹をネガティブなものとして考えていないこと、親自身もそれでなんとか仕事や家事、子育てをやっていること、などが大きいと思います。 また、告知をする際に「自閉症・アスペルガー症候群『自分のこと』のおしえ方ー診断説明・告知マニュアルー」吉田友子・著(学研)という本も、大変参考になりました。この本によれば、うちの告知はタイミングとしては、かなり良かったように思います。

それから、子ども向けの「発達と障害を考える本 ふしぎだね!?」シリーズ、「アスペルガー症候群のおともだち」「ADHDのおともだち」「LDのおともだち」(ミネルヴァ書房)の三冊も長男に見せたところ、イラストの説明も分かりやすく、支援の実例アイデアも載っていて、良かったようです。本に載っているアイデアを指して、「これ、やってみたい」と長男からの提案もありました。

告知をしたからといって、本人の生活はなにも変わりませんが、私も今まで伏せて置いていた支援の本をオープンにできるし、本人自身が理解のある支援者(病院の先生やスクールカウンセラーなど)と自分のことを相談することもできますし、私が今までやってきた「親のサポート」を、徐々に「自分のサポート」として、本人に直伝しながら「自分とのつき合い方」をゆっくり身につけられるようにしようと思っています。 (それに伴い、今後、当ページで発信する工夫も、少し趣向が変わってくるかもしれませんが、宜しくお願い致します)

 

facebook 楽々かあさんのアイデア支援ツールと楽々工夫note2015.8.28·投稿-No.142


関連著書:「発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母のどんな子もぐんぐん伸びる120の子育て法」 大場美鈴・著(ポプラ社/2017.2)p.268- →Amazonで見る



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