■発達障害のある子の自己理解
自己理解やセルフコントロール、ソーシャルスキルを教えるために、私は以前投稿した「母レター」を、今も時々子どもに書いているのですが、その中から今回は得意なことと苦手なことの差が激しい長男に、分かりやすく自分とのつき合い方を伝えてみました。
長男にはよくあることなのですが、先日、「いいこと思いついた!」とひらめいて即行動に移ったものの、不器用さが原因でうまくいかず、プチかんしゃくを起こして、モノに当たったことがありました。
そこで、ほどほどに落ち着いたら、いつも良く観ている「ドラえもん」の、のび太君と出木杉君の、こんなイラストを描いて、こんな風に説明してみたんです。
「◯太郎の頭の中には、のび太君と出木杉君が一緒に住んでいるとするよね。ただし、マンガと違うのは、
◯太郎の出木杉君は、頭の回転は早いけど、ちょっとあわてんぼうで、学校はあんまり好きじゃないかもしれないし、のび太君は、ゆっくりマイペースだけれど、ヒマや退屈が嫌いな元気な子かもしれないね。
でね。出木杉君は「目の担当」で、のび太君は「手の担当」で、二人で◯太郎を操縦しているとするでしょ?
そうすると、出木杉君がいいものを見つけて、思いついてすぐ行動しても、のび太くんがスピードについていけないことがあるんだよね。
それから、出木杉君がやる気を出しても、のび太くんがつまんないことには動かなかったり、さっきみたいに、思った通りにうまくできなくて、のび太くんが暴れたりすることもあるね」
というと、長男は自分の頭をボカボカ殴って「のび太なんかいらない!のび太なんか出て行け!!」と言うので(←見ていて切ないです・・・T_T)
「のび太君も出木杉君も、◯太郎の一部だから、どっちもいないと困るんだよ。かあちゃんは、どっちも大事だと思ってるよ」
と話すと、合理的な彼はポカンとして「のび太もいるの!? なんで??」と、驚いた様子でした。
そこで絵を描きながら
「マンガと同じで、◯太郎ののび太君も、優しくてイイヤツだし、本当は出木杉君のできないことがいっぱいできるんだよ。それに、二人は二人三脚だから、どっちも身体を動かすのに必要なんだよ」
と話し、そして、こんな提案をしました。
「もし、出木杉君がやりたいことがあるのに、のび太くんがなかなか動かない時は、のび太君に『◯◯すれば、◯◯できるよ!』って、メリットを教えてあげるといいよ。そしてもし、うまくできなくても『よくがんばったね』って言ってあげてね」
「それから、出木杉君が早過ぎてのび太君がついていけない時は、のび太君から『ちょっと待ってくれる?』ってお願いしてみてね。ゆっくりやれば、のび太君はちゃんとできるから、出木杉君はちょっと待ってあげてね」
「それでもうまくいかない時は『ママえもん』もいるから(笑)」
こんな感じで話すと、腑に落ちたようです。
以来、似たようなことがある度、このイラストを見せながら、「今のは出木杉君が、ちょっと待ってあげたら?」とか、「のび太君はなんて言えばやる気でそう?」なんて話しています。
本人が親しみやすいキャラクターに例えて、頭の中を説明してみると、自分とのつき合い方が、だんだん掴めてくるかもしれません。
初出:メルマガNo.035(2016.1.22.発行) facebook 楽々かあさんのアイデア支援ツールと楽々工夫note2016.1.19 Facebook投稿No.156
関連著書:「発達障害&グレーゾーンの3兄妹を育てる母のどんな子もぐんぐん伸びる120の子育て法」 大場美鈴・著(ポプラ社/2017.2)p274-収録 →Amazonで見る