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親子共倒れしない!「子ども」と「自分」の線引きをする3つの方法 


楽々かあさんイラスト「戻りたい」

子育てを一所懸命がんばっている親ほど……


我が子が園・学校で、できないことや叱られることが多かったり、環境になじめなかったり、お友達とうまくいかなかったりすることが多いと、自分まで落ち込んだり、不安になったりしてしまうこともあるのではないでしょうか。

特に、子育てを一所懸命がんばっている人ほど、我が子が苦しい時やつらい時、同じように、つらい思いを感じてしまいがちだと思います。


かくいう私も、長男が小学校に入学したばかりの頃、学校でできないことが続いて、自分まで一緒に落ち込んでしまって、人と会いたくなくて外出がつらかった時期もありました。


実はこの1年の間でも、高3で彼が第一志望の大学受験に失敗し、毎日苦しんでいる姿を見続けていたら、自分まで胸が苦しくなったり、涙が止まらなかったりしていました(ようやく長男が立ち直って、再受験することになってからは、今は私も元気になりましたので、ご心配なく)。


このように、うちでも3兄妹の子育ての中で、「親子共倒れ」の危機的状況に直面したことは、過去に何度かありましたが、まあ、なんとか、最悪の状態だけは、ギリギリ回避してきました。


感情の「共鳴作用」のメリット・デメリット


心理学などでは、感情には「共鳴作用」があると言われています。例えば、「泣いてる人を見て、もらい泣きする」などは代表的な共鳴作用の例でしょう。

(ASDとの関連が指摘されているミラーニューロンの働きとも関係あるのかも、と私は推察しています。)


特に親子って、テレパシーとまでは言いませんが、他人よりもずっと、感情が共鳴しやすいんじゃないかと思っています。一緒に過ごす時間も長いですしね。


更に、母子の場合は元々は物理的にも一心同体だったワケですし、赤ちゃんが生まれてからしばらくは、物言えぬ乳児の要求を敏感にキャッチする必要もありますから、我が子と感情が共鳴し、愛着を感じることは、子育てにとっても大切なことだと思います(当然、パパもですよ!)。


親子の感情の共鳴は、子どもの情緒を育てる上でも重要なことだと私は思っています。

子どもが嬉しい時には親も喜べば嬉しさ倍増だし、悲しい時には一緒に悲しむことで、心の負担も少し軽くなりますよね。気持ちに「寄り添う」っていうのは、相手の感情に共鳴することなんじゃないかな、と思います。


その一方で、「寄り添う」も、度を越せば「依存」になってしまうでしょう。

「寄り添う」と「依存」の違いは、共感的に感情を共有する範囲であれば「寄り添う」ですが、「依存」はお互いの境界線があいまいになることで、感情が支配されやすくなる状態……ではないでしょうか。


我が子への思い入れが強過ぎると、子どもが思い通りに動いてくれないと腹がたったり、なんでも管理しないと不安になったり、客観性を失って我が子に過剰に肩入れしすぎたりすれば、結果的に子どもの自立心が損なわれてしまうことも。


そこまででなくとも、感情が共鳴しすぎてしまうと、お互いにマイナスの影響がでることもあります(経験者談)。


例えば、親が不安そうにしてると、子どもも不安を感じやすくなったり……とか。

(私はかんしゃく・パニック対応の基本は、「まず、親が落ち着くこと」だと思っていますが、これも、感情の共鳴作用を逆利用したものだとも言えます。詳しくは著書「120の子育て法」P.224-、同書・読者限定特典「かんしゃく・パニック対応表」などをご参照ください)


親がイライラしていると、子どももイライラして、ヒートアップしてきたり(特に思春期!)。

子どもが感情の浮き沈みが激しいタイプだと、親も振り回されてしまったり。

相手に強い怒りや憎しみ、悲しみなどの負の感情があると、自分まで消耗してしまったり……とか。


我が子に共鳴しすぎて、一緒に苦しむ状態が長期的に続いて、親子共倒れになってしまっては、結果的に子どものためにも、他の家族のためにもなりません(……と、私も次男に諌められました😅)。


とはいえ、自分への影響が大きい時も、他人なら「しばらく会わない」とか、物理的に距離を取ることができますが、親子だとそうもいきませんよね。


そこで、私が実践してきたのが、「子ども」と「自分」の線引きをすることです。

具体的に3つ、お伝えしますね。


親子共倒れしない!「子ども」と「自分」の線引きをする3つの方法


1.【主語を明確に】


まず、一番シンプルでてっとり早く、かつ基本的なのが、「子ども」と「自分」の主語をしっかり使い分けることです。


日本語って、「私が」「私が」って言うのに馴染みが薄くて、主語を省くこともできてしまう言語ですが、「ママはこう思う」「〇〇ちゃんは、そう思うんだね」と、「誰が」そう思っているのか、主語を明確にして話すことを意識するといいでしょう。


これは「I(アイ)メッセージ」として、相手を責めない伝え方にもなりますし、実践していると、「これは誰の考えなのかな」ということを常に見極めながら話すクセがつくので、自他の線引きができるようになってきます。


2.【子どもと自分の経験を分ける】


次に、「子どもは子ども」「自分は自分」と、経験も分けて考えることです。

特に、子どもが学校でよく叱責されたり、失敗が多いタイプだったりすると、その都度、親までも一緒に落ち込んでいたら、こちらの身が持ちません!(経験者談)


少々ドライに感じられるかもしれませんが、「怒られたのは子どもであって、私ではない」と、私は毎回自分に言い聞かせるようにしていました。そうしていると、子どもが学校であんなことやこんなことをやらかしても振り回されずに、どーんと構えていられるようになりましたよ。


親が冷静で落ち着いてくれていることは、子どもにとっても安心材料になりますしね。


3.【自分の時間・空間を確保する】


小さな子や、発達障害子育てでは難易度が高いとは思いますが、お子さんの成長に合わせて、お子さんが不安を感じない範囲で、「自分の時間」や「自分の空間」など、物理的にも「自分」を確保する比率を、じょじょに増やしていくといいでしょう。


私は毎日早起きして、子どもたちが起きる前の早朝を「自分の時間」と決め、執筆活動などに当てていますが、この時間だけは、お弁当を作り始める6:00になるまでは、子どものことは一切しません。

少し早めに起きてきた子に「朝ごはん〜」と言われても、「6時までは仕事だから。自分で作ってね」と断っています。これを続けていたら、犬も朝は私の膝の上に乗ってくるのを諦めてくれました。


また、お子さんが成長してくると「自分の部屋」を持つことも多いと思いますが、親はどうでしょう。おうちに「自分の空間」ありますか?

かくいう私も、リビングの一角の仕事用スペースが「自分の空間」とはいえ、個室ではありません……子ども達も大きくなってきたし、私だって、完全プライベート空間がそろそろ欲しいところです。


お子さんの年齢や個性、家族の人数や住宅事情等で「自分の空間」の確保がなかなか難しい場合は、せめて「自分のもの」にラベルをつけたり、食器などに「マイ・カラー」を決めたりして、家族と共用するもの・しないものを分ける、などの「見える」工夫をするといいでしょう。ささやかですが……。


上手に「共感モード」の切り替えを!


こんなことを続けていると、かつては一心同体だった我が子と自分との線引きができて、だんだん、お互いを「個」として尊重できるようになり、何があっても動じないようになれると思いますよ(私も、まだまだ道半ばですが…)。


その一方で、今度は完全に子どものことが「他人事」になってしまうと、子どもへの関心や愛着心が薄れて子どもを理解してあげられなかったり、気持ちに寄り添えなかったり、育児意欲を損なったりし兼ねないので……。


何事もバランス感覚が大事というか、上手に「共感モード」のオンオフを切り替え、使い分けることができればベストだと思います。


逆に、「自分のことで忙しくて、子どもへの関心が薄れがち……」などの方は、お子さんとできる範囲でいいので、雑談などをする時間を意識的に増やしたり、共通の話題が見つからなくても、おうちで一緒にテレビ観たり、映画鑑賞などをして一緒に泣いたり笑ったりと、感情と時間・空間を共有する体験を少しでも増やしていくといいと思います(父ちゃん、聞いてますか〜?)


時々「自分時間」しつつ、自分のことも大事にしつつ、お子さんと過ごす今を大事にされますよう。


 

追伸:コロナ中の2020年の「伝わる!声かけ変換」の出版以降、長女の中学受験、長男の大学受験などが続いて余裕がなかった上、私も更年期や執筆後の燃え尽きなどで体調不良が続いていましたが、ようやく前に進めそうです。

既刊本を応援してくれた皆様の声に励まされて、なんとか私の意欲も回復しつつあり、おかげさまで理解のある出版社様より次の本のお話を頂き、執筆作業に入りました。少しブログの更新頻度がゆっくりめになるかもですが、新刊の完成と併せて、気長に見守って頂ければありがたいです。

2024.11.8 大場美鈴


関連著書:「発達障害&グレーゾーン子育てから生まれた 楽々かあさんの伝わる! 声かけ変換」

大場美鈴・著(あさ出版/2020.6) →Amazonで見る


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